『ハート・トゥ・アート』通信

高円寺発のアートイベント『ハート・トゥ・アート』です。知る人ぞ知る地域密着型アートフリマイベントの先駆け的存在です。

優れたアート作品は哲学を具現化したものかもしれない〜笠原宏隆さんの個展で感じたこと アートニュース186

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笠原宏隆さんの個展が昨日4月6日から池袋の栗原画廊でスタートした(4月11日まで)。

笠原さんの作品は未来抽象展やK'sギャラリーでの個展で何度も観てきているが、じっくり拝見したのは今回が初めてかもしれない。

過去の作品ファイルも含めて拝見して、作家・笠原宏隆という存在をより深く触れることができた。。。ような気がする。

そして、アート(というか、創造物)に触れる側の醍醐味は、自分なりに何かを「発見すること」なのかもな・・・とも感じさせられた。

この話、マジで書き出すと時間が足りないので、できるだけあっさりとしたメモ書き程度に留めておくことにする。

まずは笠原さんの展示について。

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本人と展示風景。作品は大小20点くらい。

笠原さんの場合はサイズは関係ない気がする。

大きいサイズは見栄えがするし、見応えがある。かといって小さい作品も見応えという部分では、大きいサイズとなんら変わらない。


それは、どれもが「宇宙」的に深淵なものだから。

少なくともオレにとってはそんな風に感じられた。


作品の一部をいくつかご紹介。

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しっかりとした額装作品が多かった。額選びもかなり丹念に時間をかけてセレクトしてきたそう。

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創りっぱなしではなく、その先まで考えること。買って自宅に飾る人のことまで配慮する姿勢は大事なこと。もちろん額装しないとダメだは思わないが。

作品はシリコンと絵の具を一気に混合させる手法で創られる。シリコンはすぐに固まるので、1分程度(!)という短い時間で色を定着させる。

大きい作品はその手法を組み合わせるらしいが、それでも一日程度で創り上げてしまうらしい(あれ? 一時間って言ってたっけ? いや、一日程度だったはず)。

とにかくシリコン素材は超短時間で処理しないと作品にならない素材らしい。

色の混ざり具合、シリコンに色が定着する時に生み出される独特の模様、もちろん形も、すべて偶然の産物だ。

もちろん偶然の産物をただ並べているわけではなく、展示作品の何倍も創り、納得したものを厳選して展示している。

以前に比べて、色数もかなり増やした(解禁した)そう。今回は18色くらい用いている。色数が増えることで、さらに作品の表情が豊かになっている。


キャプションは意味不明な言葉が羅列されている。

大昔にキング・クリムゾン海賊版を聴いたことがあるが、ロバート・フリップのギターが意味不明すぎてチンプンカンプンな気分になってしまった。

当時は、ただの音の羅列にすぎないと感じたし、バカじゃないの? これが芸術的音楽なの?? なんて思ったけれど、最近になってロバート・フリップの真意?がわかってきたような気がしている。

ある意味、それに近いキャプションだ。

要するに具体的な言葉を提示しないことで、作品を観る側に予断を与えないための工夫。


過去の作品ファイルを拝見したが、これもまた面白かった。緻密で繊細なことを積み重ねてきた歴史を垣間見ることができた。

そういえば笠原さんとこで夏に行われるBBQに何回か参加したことがあるが、燻製作りとかメッチャ丁寧な仕事ぶりに感心させられた。

身体はデカいが、本質的にはかなりデリケートな人なんだろうなぁ。

話が逸れてしまうけど、笠原さんと風見規文さんの2人が並ぶと、アート界の東京タワーズみたいな印象。東京タワーズっていうのは、馬場と坂口のタッグチームの名称のことだけど、若い人は知らないよね。つか、オレも若いけど(苦笑)。

あ、くだらない余談だったね(汗)。

最後に制作について笠原さん本人が書かれていたので、ついでに載せとく。非常に哲学的というか、宗教的というか、とにかく精神的な部分を深めていることがわかる。

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さて、これからが本題。

冒頭で触れた、アート(というか、創造物)に触れる側の醍醐味は、自分なりに何かを「発見すること」なのかもな・・・という話。

だけど、ここまで書いたところで疲れてしまったよ。かなり割愛して、箇条書き的に書いたんだけど・・・。

でも、ここで止めると絶対に書かないような気もするので、ザックリと書いておくことにした。


笠原さんの展示を観たことをきっかけにして、自分なりにアートについて考え、「優れたアート作品は哲学を具現化したものかもしれない」という結論(自分なりの新しい発見)に導かれた。


アートなんて単純に「好きかキライ」でいいと思っているし、そう公言してきた。

だけど、アートには「観た者が作品に刺激され、何か新しい価値観を発見するための手引きとなる」要素が必要かもしれないなぁ。。。と思った。

今回、オレ的には、アートは「哲学を具現化したもの」であるべき・・・という新しい発見(確信?)が加わった。


なんだ哲学って?? って話だけど、これを説明するとホントにホントに長くなるから(そもそも書くことが面倒になってきてる汗)、簡単なチャート式風な箇条書きで終わらすことにする。

<笠原さんの作品を観て感じたこと>
・笠原さんは、本人なりに考え、自身のすべきことを突き詰める行為を積み重ねている(作品づくり)。
  ↓
・そういった自分なりの役目をやりつくした先に、偶然性という神が作品(もしくは創り手)に宿る気がする。
  ↓
・技術(積み重ね)と偶然性(神による補完)がシンクロすれば、必ずや観る人を魅了する作品が産み出されるんじゃないか。


<基本となる「昔から思っているオレの考え」>
・学問のジャンルを自分なりに評価すると、「経済・政治学」が一番のナマモノであり、最高に進化しているのが「数学・物理学」だと思っている。
  ↓
・「経済・政治学」は偶然性に左右される部分も強い。だからもっとも難しい学問ともいえる。かたや「数学・物理学」は理論バリバリ。
  ↓
・偶然性と必然(理論)の狭間には、絶望的な断絶があり、その断絶と向き合う特殊な学問として存在するのが「哲学」である。
  ↓
・絶望的な断絶の架け橋となるのは、結局は神(創造神)の仕業であり、神が宿る行為を検証(立証)していく行為が哲学すること。


この<笠原さんの作品を観て感じたこと>と<基本となる「昔から思っているオレの考え」>を組み合わてみると・・・。

優れたアート作品は哲学を具現化したものと考えることができるんじゃないか? そして、作品を創る側は、神に宿ってもらうために、徹底的に自分の理論を追求する行為を積み重ねていくしかないんじゃないか・・・なんてことを思ったりしたのである。

それは、オレにとって「発見(再確認)」でもあった。

なんだか意味不明で、破綻している文章のような気がする。ホントなら1〜2日くらい放置して読み直してからアップした方がいいんだろうけど、もういいや。

とにかくオレにとって優れた作品というのは、思考を促してくれる。そういった意味で笠原さんの作品は「好きキライ」を越えたものをオレに与えてくれた。

でも、展示を観ても同じように考える人は少ないんだろうなぁ。。。やっぱ、オレは頭がおかしいのかもしれない(汗)。

展示は4月11日まで。ぜひ行ってみてほしいです。

おしまい。

笠原宏隆作品展facebookイベントページ
https://www.facebook.com/events/1571427976447250/

栗原画廊ホームページ
http://www.kurihara-art.com/