『ハート・トゥ・アート』通信

高円寺発のアートイベント『ハート・トゥ・アート』です。知る人ぞ知る地域密着型アートフリマイベントの先駆け的存在です。

facebookページ挨拶雑文(2015.8.17) 030

この雑文は、ハート・トゥ・アートfacebookページ(https://www.facebook.com/HEARTtoART)で気まぐれで書いたものです(2015.8.17 facebookページ掲載)。新年なので、旧年中の雑文をまとめてアップすることにしました。(2016.1.1 ブログ掲載)

 

手で水を勢いよくすくっても、両手からは無駄な水が勢いよくこぼれていくだけ。

これって、焦っている時に時間がこぼれ落ちていく感覚と似ている。

エネルギーの過剰な浪費。無駄の極みともいえる焦燥感。「もっとリラックスしないといけないんだけど・・・」「無心で・・・」。わかっちゃいるけど、力が入りすぎて疲弊してしまう。

ピンチが楽しかった日もあったけど、いつからこんな風になってしまったのか。


大昔、創刊号雑誌マニア?だった。

30年くらい前の話。いや、もっと前になるか。子ども時代だったから、なんでも自由に買えるわけではなかったが、気になる雑誌は必死にお小遣いをやりくりして買ったものだ。

きっかけは、なんだっただろう。残間里江子さんが巻頭インタビューだった『エディター』という雑誌だった気がする(タイトルもこれだったのか不明。すぐ廃刊になった)。なぜか子ども心に惹かれて購入した。

それから・・・思い出深いのは『エニグマ』というオカルト雑誌。すごく面白かった(ような気がする)。内容はすっかり忘れてしまったけど。

創刊号は編集部もリキ入れるので、内容が濃かったのが単純に楽しかったんだと思う。

一連の創刊雑誌の中で特に思い出深いのは、『2001』という祥伝社から発行された雑誌。「般若心経」の手本が付録だった。それを活用してボールペン写経にハマった。

先日、たまたま100円ショップで写経手本を見つけた。なんでも売ってるんだよね、100円ショップ。すごすぎ。あれこれ懸案事項が山積みだけど、久しぶりに写経をやってみた。

筆ペンを使って書いてみると・・・息は詰まるし、肩は痛くなるし、腕や握り手も明らかに疲労してくる。もちろん書いた字はダメダメ。

「はね・とめ・はらい」が全部ダメ。ロボットが書いているみたい。しなやかさもゼロだし、ザツ極まりない。

無駄な力が入りすぎていて字がこわばっている、抜こうとすると一気に集中力ゼロ、無責任な書きっ放し状態となる。

最初に書いた無駄に勢いよく水をすくうような感覚とか、時間が浪費される感覚と似ているように感じられた。


書道家の名言を探してみた。

寛永の三筆の一人と称され俵屋宗達とコラボったり、アーティストを集めた芸術村を作ったり(いまでいうアートレジデンス的な感じ? 日本最初のアート・ディレクターとも呼ばれているらしいが真偽の程は不明)、ほかにも陶芸をはじめさまざまなジャンルで才能を発揮した本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)の名言がいくつか出てきた。

「心が凝り固まっていては見えないものも、力を抜いて素直に見ると、いろんな顔が現れてくるでしょ。心を開いて受け止めるなら、この世のすべては美しくてもともと」。

 

「ただ己の色を深く濃くしていく その色は美しい、その人の色」。

 

「弱さを経ていない強さはないでしょう」。

本阿弥光悦は『バガボンド』にも出てくるみたい。武蔵とも接点あったんだ。


で、本阿弥光悦の言葉から力を抜くことの大切さをあらためて感じさせられたわけだが、そう簡単じゃない。

うまく書こうとすれば心が凝り固まって余計な力が入る。だから結果を考えずに一筆一筆を素直に書くことだけに集中するといいんだろうね。単純に柔らかにペンを持てばいいだけかもしれないけど(苦笑)。

とにかく書に限らず、生きることも同様なんだろう。

雑念に振り回されたり、自問自答を繰り返したり、自己批判は永遠に続くだろうけど、無駄な焦燥感やエネルギーロスをできるだけ減らして、自分の役割だけに集中していくといいのかな。

なかなかできないけど。。。

 

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※画像は本阿弥光悦。日本のレオナルド・ダ・ヴィンチとも称されており、法華経信者の手本ともされている。清貧ならぬ、清富の思想を示したと評価する人もいる。今後の日本の課題は「清富の思想」かもしれない。いや、それは大袈裟か。いまを生きるアーティストたちの課題あたりにしておこう。

 

 

 

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本阿弥光悦―人と芸術

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光悦── 琳派の創始者

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